春日大社のご利益・見どころ・参拝ガイド
【燈籠と神鹿が迎える藤原氏の氏神】
神社の概要
春日大社(かすがたいしゃ)は、奈良県奈良市に鎮座する神社です。神護景雲(じんごけいうん)二年(768年)、称徳天皇の勅命により、平城京の守護と国民の繁栄を祈願して創建されたと伝えられています。全国に約3000社ある春日神社の総本社であり、藤原氏の氏神をまつる神社として長く篤い信仰を集めてきました。境内は「古都奈良の文化財」の一部としてユネスコの世界文化遺産にも登録されています。
どのような神社なのか
春日大社は、奈良時代に権勢を誇った藤原氏(当時は中臣氏)の氏神をまつるために創建された神社です。御本殿は、神さまが宿るとされる御蓋山(みかさやま)の麓に建てられており、社殿は20年に一度建て替えられる式年造替(しきねんぞうたい)の伝統を今に伝えています。年間を通じて2200回以上ものお祭りが執り行われており、まさに祈りが絶えることのない神社といえます。境内の東に広がる御蓋山と春日山原始林も、春日大社の神域として古くから守られてきました。841年に狩猟と伐採が禁じられて以来、人の手がほとんど入らない原始の森の姿がそのまま残されており、こちらも世界遺産の構成資産となっています。現在は指定された遊歩道からその雰囲気を楽しむことができます。
御祭神と由緒
御本殿には、4柱の神さまがまつられています。第一殿の武甕槌命(たけみかづちのみこと)、第二殿の経津主命(ふつぬしのみこと)、第三殿の天児屋根命(あめのこやねのみこと)、第四殿の比売神(ひめがみ)です。
武甕槌命は、茨城県の鹿島神宮から白い鹿に乗って御蓋山に降り立ったと伝えられています。この伝説から、奈良の鹿は神さまのお使い「神鹿(しんろく)」として大切にされるようになりました。近年の学術研究では、奈良の鹿の一部が約1400年前から周辺の鹿と交わることなく独自の系統を守り続けてきたことも明らかになっており、伝説と実際の歴史が重なり合う興味深い場所となっています。経津主命は千葉県の香取神宮から、天児屋根命と比売神は大阪府の枚岡神社からそれぞれ迎えられ、768年に4柱がそろって現在の地にまつられました。天児屋根命と比売神は藤原氏の祖神にあたるとされ、この4柱をまつったことが、春日大社が藤原氏の氏神として特別な地位を持つ理由になっています。
主なご利益
武甕槌命・経津主命は武の神さまとして知られ、勝運や決断力にご利益があるとされています。大切な試合や勝負を控えた方、迷いなく物事を決めたいという方に心強い神さまです。天児屋根命は藤原氏の祖神であることから、学業成就や仕事での出世を願う方に篤く信仰されてきました。新しい役職に就く方や、資格試験・就職活動を控えた方にもふさわしいご利益といえます。比売神は縁結びや夫婦円満にご利益があるとされ、大切な人との縁を深めたいと考えている方に親しまれています。
境内摂社の夫婦大国社(めおとだいこくしゃ)も見逃せません。大国主命(おおくにぬしのみこと)と須勢理姫命(すせりひめのみこと)という、全国で唯一の夫婦そろった大国さまをまつっており、縁結びや夫婦円満、家内安全のご利益で知られています。近年は、願いごとを書き込めるピンク色のハート形の絵馬を奉納する参拝者が多く見られ、境内の見どころのひとつにもなっています。
境内の見どころ
春日大社といえば、参道や回廊に並ぶおよそ3000基の燈籠(とうろう)が有名です。室町時代以前に作られ、今も残る燈籠の約7割が春日大社にあるといわれており、社寺の参道に燈籠を並べる風習も、ここ春日大社から始まったと伝えられています。かつては毎晩火がともされていたこの燈籠に、現在も年に2度だけ実際に火をともす「万燈籠(まんとうろう)」という神事があります。節分の日と、お盆の8月14・15日に行われ、深い森の中に無数の灯りが揺らめく幻想的な光景が広がります。この2日以外にも、大宮内の藤浪之屋(ふじなみのや)では、100基以上の釣燈籠を一年を通して間近に鑑賞することができます。
藤の花も、春日大社を象徴する存在です。なかでも樹齢700年とも伝えられる名木「砂ずりの藤」は、花の房が地面近くまで長く垂れ下がることからその名がつきました。藤は藤原氏ゆかりの花とされ、次第に春日大社の神紋「下り藤」としても定着していきました。
境内には、若宮神社をはじめとする「若宮十五社めぐり」、水谷神社などをまつる「水谷九社めぐり」といった、摂社・末社をめぐるお参りコースも用意されています。ひとつひとつのお社に手を合わせながら境内を歩くと、春日大社の信仰の奥行きをより身近に感じられます。
御朱印・お守り・授与品
御朱印は、春日大社・夫婦大国社・若宮神社・金龍神社の4種類が授与されています。授与所は南回廊にあり、御朱印やお守り、お札もこちらでいただくことができます。授与品の中では、夫婦大国社の「福之種子(ふくのたねこ)」が財運・福運のお守りとして親しまれているほか、藤の季節には期間限定の「藤まもり」も授与されます。また、夫婦大国社では、須勢理姫命が手に杓子(しゃくし)を持たれていることにちなみ、古くから絵馬の代わりに杓子を奉納する珍しい習わしも残っています。
アクセスと駐車場
春日大社は奈良県奈良市春日野町160に鎮座しています。電車を利用する場合は、JR大和路線または近鉄奈良線「奈良駅」から奈良交通バスに乗り、「春日大社本殿」バス停で下車するとすぐです(所要時間の目安は11〜15分)。
御本社の参拝所は、3月から10月は午前6時30分から午後5時30分まで、11月から2月は午前7時から午後5時までの開門です。お札やお守り、御朱印の授与は、時期を問わず午前9時から閉門まで受け付けています。
駐車場はバス・乗用車合わせて100台分あり、乗用車1500円、バス4000円、バイク500円で利用できます。なお、境内へのペットの同伴、ドローンの使用、敷地内での喫煙はすべて禁止されていますので、参拝の際にはご注意ください。
よくある質問
春日大社の御祭神はどなたですか?
御本殿には、武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神の4柱がまつられています。天児屋根命と比売神は藤原氏の祖神にあたるとされ、春日大社が藤原氏の氏神として特別な地位を持つ理由になっています。
春日大社の鹿はなぜ神さまのお使いとされているのですか?
御祭神の武甕槌命が、茨城県の鹿島神宮から白い鹿に乗って御蓋山に降り立ったと伝えられていることに由来します。この伝説から、奈良の鹿は「神鹿」として大切にされてきました。
春日大社の御朱印は何種類ありますか?
春日大社・夫婦大国社・若宮神社・金龍神社の4種類が授与されています。南回廊にある授与所でいただくことができます。
夫婦大国社とはどのような神社ですか?
境内摂社のひとつで、大国主命と須勢理姫命という、全国で唯一の夫婦そろった大国さまをまつっています。縁結びや夫婦円満、家内安全のご利益で知られ、ハート形の絵馬を奉納する参拝者も多く見られます。
万燈籠とはどのような行事ですか?
節分の日と、お盆の8月14・15日の年に2度だけ、境内約3000基の燈籠すべてに実際に火をともす神事です。深い森の中に無数の灯りが揺らめく、幻想的な光景が広がります。
春日大社は何時から参拝できますか?
御本社(大宮)の参拝所は、3〜10月が6時30分〜17時30分、11〜2月が7時〜17時です。お札・お守り・御朱印の授与は、通年9時から閉門までです。
春日大社の駐車場について教えてください。
バス・乗用車合わせて100台分の駐車場があります。料金は乗用車1,500円、バス4,000円、バイク500円です。
まとめ
春日大社は、藤原氏の氏神として1300年近く続く信仰を今に伝える神社です。3000基の燈籠と神使の鹿、樹齢700年の藤、そして人の手が入らない原始の森。歴史と自然が重なり合う境内には、何度訪れても新しい発見があります。奈良を訪れた際は、ぜひゆっくりと時間をとって参拝してみてください。