姪の頑張りを、遠くから

合格祈願
正月に親戚が集まったとき、久しぶりに顔を合わせた姪が、心なしか少し痩せて見えた。
「最近どう?」
そう聞くと、姪は少し照れながら答えた。
「実は今、受験勉強で。絶対行きたい大学があるの」
その目は、思っていたよりずっと真剣だった。
小さい頃は、隣に座って一緒にお絵かきをしていたあの子が、もう自分で行きたい場所を決めて、そこに向かっている。
そのことが、思いのほか胸に残った。
何かできることはないだろうか。
それから、折に触れて考えるようになった。
合格祈願にでも連れて行ってあげられたらいいのだろうけれど、姪の家からは電車を乗り継いで半日仕事になる。
受験勉強で忙しい今、そんな時間を使わせるわけにもいかない。
だからといって、
「頑張ってね」
と声をかけるだけなのも、どこか物足りなかった。
せめて、お守りくらい届けられないだろうか。
そう思って調べているうちに、リモートでご祈祷を申し込めるサービスを見つけた。
ご祈祷の様子はライブ配信で見届けることができ、お守りなどの授与品は、本人のもとへ届けてもらえるという。
これなら、姪の勉強時間を邪魔せずにできる。
姪に連絡してみると、
「え、そんなのがあるんだ」
と驚いていた。
「今はなかなか行けないけど、リモートならお願いしたい」
申込みフォームには、姪の名前と住所を入力した。
ご祈祷の当日、指定された時間にスマートフォンでライブ配信につないだ。
画面の向こうで、神職の方が祝詞を上げる。
姪の名前が読み上げられるのを聞きながら、正月に会ったときの顔を思い出した。
少し痩せた頬。
「絶対行きたい」と言ったときの目。
合格しますように。
そう願ってから、もうひとつだけ思った。
ここまで頑張ってきたものを、
どうか本番で、ちゃんと出し切れますように。
数日後、姪からメッセージが届いた。
「お守り届いた、ありがとう。机の隅に置いて、毎日それ見てから勉強することにした」
短いメッセージだった。
でも、それで十分だった。
会いに行ったわけでもない。
勉強を教えてあげられるわけでもない。
代わりに試験を受けてあげることなんて、もちろんできない。
できるのは、応援することくらいだ。
それでも、その気持ちを何かの形にして、届けることはできる。
正月に見た、あの真剣な目を思い出した。
あとは、あの子が積み重ねてきた時間を信じよう。
春にまた会えるのが、少し楽しみになった。